私の行政書士受験
忘れもしない2002年6月9日、サッカーワールドカップ日韓大会において日本が歴史的な1勝を挙げた第2戦のロシア戦の日が私の行政書士試験への受験勉強を開始した日でした。ようやく意を決して教材を注文し、それが届いた日です。試験日は10月の下旬、残る日数は約4ヵ月半。正直なところ、間に合うかどうかは甚だ疑問でしたが、翌年のことも念頭に入れてとにかく歩き出そうと決意しました。出願締め切りが8月だったので、受験するかどうかはその時までに決めればいい、という気持ちでした。ちなみに結論から申しますと、夏場に体調を崩して半月ほど勉強を休んだため、正味の学習期間は4ヶ月ということになります。ただ結果的には中間地点にあたる時期に、ある意味でよいリフレッシュ期間を与えられたものと思っています。出願締切日直前になって郵送で申し込んだものの、切手の額面が不足していたとかで戻ってきてしまい、あわてて速達で出し直したという冷や汗もののエピソードもあります。
参考までに私が注文した本はLEC東京リーガルマインドの「出る順行政書士」一般教養編と法令編(2分冊)、そして「本試験問題集」一般教養編と法令編の計5冊でした。この本をセレクトしたのは以前司法書士を目指していたときの縁でこの出版社を知り、その出題傾向や問題分析に対しての十分な探求がなされ、もろもろの設備や諸条件が整ったところであるという認識があったためです。出題傾向を探るのは受験対策には不可欠の戦略ですし、ここの出版物は若干高めの気もしますが、要点を端的に記述し、重要でない分野を思い切って割愛するような点も持ち合わせているので、取り組みやすいと判断したためです。4ヶ月余りという限られた時間の中で成果を残すためには、いかに効率よく出題範囲についての理解をしていくか、という点につきると思われます。その課題を克服するのに最も適していると判断したためです。
行政書士受験にいたるまで
「私は4ヶ月で行政書士試験に合格することができた」といいましても、まったく予備知識がなかったわけではありません。私は大学の法学部に在籍していたときに「司法書士」という資格の存在を知り、だらだらと過ごしてしまいがちな学生生活を何とか有効に過ごしたいと、司法書士という資格に特別な縁はなかったのですが、目標を明確な形として自己啓発に努めようと、大学の2年生ごろから余った時間を利用して民法の勉強からとりかかり始めました。特別な成果があったわけではありませんが、その資格の魅力と、せっかく教材も揃えてとりかかったのだからというわけで欲が出て、大学卒業後も続けていきたいと思うようになり、当時はバブルの絶頂期で空前の売り手市場であった就職戦線に参入することもなく、受験指導校へ通って勉強を続けることになりました。結局この間実に長い期間をかけましたが、合格の2文字にたどり着くことはできず、いったん就職をして受験勉強生活から離れることとなります。
合格できなかったのだから、あまり参考にはならないとお考えの方もいらっしゃると思います。しかしその間の紆余曲折の中に、「失敗したからこそ得られたもの」もあります。何より私の場合、勉強の仕方や時間の使い方の面からまずスタートしたといえます。今思えばかなり要領を得ないやり方を随分としてきましたし、これから述べていく独自の勉強法などもすべて試行錯誤の中から自分で考えて編み出したものです。そのやり方が身についてくる頃には自分でも驚くほど力をつけていくことができましたし、実際、答案練習会や全国公開模試では全国でも総合10位以内に入ったこともありますし、自分の中ではそれなりの充足感やプライドもあります。某受験指導校の開発スタッフ試験にも(論述式でめちゃくちゃ難しかったのですが)通ったこともあります。時間はかかったけれども、あの時ああしていればもっと早くたどり着けたのに、といった無数の反省材料こそが、その後の行政書士「一発合格」につながっているといって過言でないと思います。ここで記述する内容もそういった試行錯誤の結果でありますことをご承知おきください。
就職はしたものの、士業とはまったく無関係の会社、しかも当初はアルバイトという立場でした。長い「浪人生活」ですっかり蓄えを失い、当面の生活費を親に借りたりしていましたので、とりあえずは急いで収入を得ることを考えなければなりません。こうして就職をしたものの、いつの日かまた受験をと心の中では考えておりました。そのときに「宅建」あたりなら自分でも取得できるのでは、という思いがよぎり、まずは仕事以外に時間を捻出し、勉強との両立をはかろうと、挑戦してみることとし、2001年度の試験に合格することができました。試験は10月でしたが合格発表までの2ヶ月ほど、せっかく勉強との両立という生活リズムができたときに、目標を失うとぽっかりと心に大きな穴ができ、何か次の目標を立ててみたくなり、他に何か比較的取りやすそうな資格を探し、合格発表とほぼ同じ頃、もともとある程度の自信があった「漢字」についての勉強を始め、翌年2月の「漢字検定準1級」試験を受験し、これまた合格することができました。相次ぐ合格にすっかり気をよくした私は、さらに次の目標を模索しました。3月の合格発表をうけて、いろいろな道が頭をよぎりました。行政書士のほか、社労士、この際思い切って司法書士にもう一度挑戦しようか、はたまたせっかく取得した宅建を生かして不動産業界へ転職しようか、などなど。そうする間にも仕事の方も繁忙期を迎えたりしてようやく動き始めたのが先に述べた「6月9日」であったわけなのです。迷った最大の理由はなんといっても受験までの日数があまりにも短かったこと。かといって、その後も何か挑戦することを考えたら2年はかけたくないという思いもありました。
早く合格するために
具体的な勉強法やスケジュールは別のページに譲りますが、勉強中はひたすら「楽しむ」ことを意識していました。変な言い方になるかもしれませんが、どういう覚え方をすれば身につきやすいだろう、とか、知識を吸収することができて嬉しいとか、楽しく感じられるような努力をしてきました。そしてやはりモチベーションを上げるためには早い時期から問題を解くことに慣れておき、正解を導くことのイメージトレーニングを積むことでしょうか。仕事との両立は時間的な問題もありますし、精神的・体力的にもなかなかハードですので、そういう「心の余裕」が大切になるのではないかと確信しております。余談ですが私の住所から試験会場までは電車で2時間くらいかかるため、受験当日の朝食は電車内で食べようと思っていたところ、日曜日の午前中の電車は宿泊観光客の帰京ラッシュと重なって、座ることができず、なおかつ試験会場も駅から意外に歩いたりして集合時間ぎりぎりに滑り込み、結局朝から何も口にしないまま受験することとなりました。そのかわり変な緊張感はなく、目の前の試験問題に集中できたのは良かったのではないかと思っています。試験当日まで何が起こるかわかりません。日頃から十分な準備を積んで万全の状態で臨みたいものです。
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