民法の学習を今から始めるとしたら
今から私がもしまったく知識のない分野の勉強を新たに始めることになるとしたら、ひとまずは書籍の選択になると思います。
基本的には自分に合ったものということになりますが、法律の学習全般によくいわれることは「基本書」「過去問」「条文」の3本柱を大切にするということです。
ただし私の場合、どうも条文をいちいち六法で調べてみるということが苦手でしたので、基本書が条文を含めて重要事項をくまなくコンパクトに掲載してあるものであればそれほどこだわる必要はないと思います。今は条文をネット検索できる時代ですし、利用の仕方ひとつでかなり便利に使いこなせると思います。
もちろん購入して一通り目を通すことは欠かせませんが、試験の場合には条文それぞれが等しく重要というわけではありません。まずは基本書でそれぞれのテーマや背景を理解したうえで、重要な部分とそうでない部分の「色分け」をすることです。
資格試験だけでなく受験全般にいえることですが、「ゴール」は問題に対して正しい答えを導き出すことです。そのためにどういう知識が要求されるのかということを絶えず考え、念頭において勉強する必要があります。
書き込み式学習法
私は受験勉強にあたり「ノート」を一切使用せず、どれかもっとも中心にしたい基本書を1冊選んで、その各ページの欄外等の余白部分に「書き込み」をする方法をとっていました。
なぜノートを作らないかということは、単純にあちこちの本や資料を探す手間を省くことに他なりません。そしてその1冊にはその本の記述内容はもちろん、他の本や資料、見聞したことなどを集約化した、ひとつのイメージ本を作り上げることを目的とします。それ1冊があれば勉強した内容の全てが把握できるといった感じでしょうか。万一書き落としたり意味が不明な部分は、もともとが基本書ですのでその周辺を読み直してみればよいのです。
詳細は後に記述しますが、基本書の読み方としては1回目は文字通りの「素読」。そこで書かれている内容の意味を理解することです。その際には意識の活性化と眠気の防止のために、必ず鉛筆(シャープペンシル)を持って、あとで読み返すときのためにポイントとなる部分にことごとくアンダーラインなどのチェックをすることです。
ここではあくまでもおおよその意味が理解できれば十分です。少々わからない部分があっても、とりあえずは疑問点のメモを余白に簡潔に残して先へ進めます。
ここでいうアンダーラインは単なる線にとどまらず、キーワードや内容上のポイントとなる重要部分については丸や四角で囲み、関連する流れにしたがってそれらを線で結びつけたりします。あまり目立ちすぎたり複雑化しすぎるとかえって見にくくなるのでほどほどにします。
そして一通り読み終えてチェックをつけたら2回目に読むときには各章や見出しごとにポイントとなる部分を整理して余白に簡単な図表や文字を書き入れます。
見ておおよその内容が把握できるようでしたら、詳細まで読む必要はありません。その章で言いたいことは何かということを頭の中で理解しながらイメージを思い描き、それをなるべく視覚化した図表のように記入していきます。
ここで、図表化することの意味は大きく2つあり、一つは潜在意識いわゆる「右脳」というものに訴えかける方が理解がしやすい(インプットがしやすい)ということ。そしてもう一つはあとでおさらいをするときに、イメージで捉えた方が読むよりも早いということ。
図を見ればそこに書かれていることが読み取れる、といった状態が理想です。書いてある内容をイメージ化するということは慣れるまでは大変な作業かもしれません。しかしその過程で事の深層に踏み込んで考えることができて、その結果を書き留めるということに資格とか試験というものを超越した「楽しみ」が芽生えたらしめたものです。
そして問題演習です。受験に「過去問」の研究と攻略は不可欠です。
まず問題をどうやって解くかということのイメージトレーニングとして、最初はまったく解けなくても一向に構いません。解けなくてもしっかりと解説を読んでその出題意図と解法をインプットしてしまえばいいのです。当然、新たに知ることは基本書の該当ページの余白に記入して、できれば図表などに溶け込ませておきます。
物事を成功させるためには、当然ながらいくつかのステップがあります。皆さんが趣味でも特技でも何か詳しい分野について語らせたら「どうしてこんなことまで覚えたんだろう」と思われることはありませんか?好きなことは夢中になって覚えますし、より深く知りたがります。その原理を勉強にも生かしてみましょう。私の場合のその原理をまとめてみるとこんな感じでしょうか。
「試験に合格したい」→難しそうな科目もあるが、落ち着いて順序だてて理解してみよう
→図表化・イメージ化でインプット→問題演習の反復による解答イメージトレーニング
余談ですが私は野球を見るのが好きで、よく重要な試合については録画しておいてあとで保存用に編集をするという作業をしていました。野球の試合はプロ野球で3〜4時間、高校野球でも2〜3時間は普通にかかります。それを録画しておいてもあとで1試合をまるまる全部見るというのは大変ですが、試合の中でポイントとなった部分のみを編集して保存していくというものです。
「それだったらスポーツニュースを録画すればいいじゃないか」と思う方もいらっしゃると思いますが、実は試合の「生実況」というのは非常に重要で、臨場感などの迫力が全然違うのです。そういう作業を始めた初期の頃は、得点に絡んだ出塁や進塁の場面をことごとく残していて、1試合につき15分くらいにまとめるのがやっとでしたが、慣れてくると試合の流れのうえでさらに不要な部分を読むことができ、5分以内にまとめることもできるようになりました。
まったく別の分野においても、「まず全体像を知り、流れを読んで大局をつかむ」という勉強方法を編み出した(?)瞬間です。
行政書士試験と暗記法
法律科目は「理論を捉えよ」といわれます。しかしどうしても暗記に頼らざるを得ない部分も出てきます。
これはもう、覚えてしまう以外にないのですが、司法書士受験時代に合格者から教わった方法で、「頭文字暗記法」があります。有名なものも中にはありますが、民法の先取特権「共益費用」の場合、「今日こそ日曜日」と覚えました。
第1順位の「今日」は「共益費用」、
2番目の「こ」が「雇人給料」、
「そ」が「葬式費用」、
最後の「日曜日」が「日用品供給債権」 といった具合です。
このフレーズを何度も復唱することで、やはりイメージを把握し、思い出す際にもその頭文字がヒントとなって「こ」って何だっけ?そうだ「雇人」だ!という具合に導いてくれます。頭文字の文字列を自分で作る場合には漢字1文字単位で作ると思い出しやすくなります。もちろん文字列を決めて復唱したらやはり基本書の該当ページの余白に書き込んでおきます。
トップページ / 行政書士の業務 / 行政書士試験概要 / 私の行政書士受験
行政書士受験の心構え / 書き込み式学習法 / 学習スケジュール
科目別学習法 / 行政書士受験参考書籍 / 全国行政書士会一覧